ファンシーラットの基礎情報

近年、日本でもじわじわと人気の出てきているファンシーラット。
あなたはファンシーラットが実はどんな動物なのか、知っていますか?
本記事では、ファンシーラットの基礎情報について紹介していきます。

ファンシーラットの基礎情報

ドブネズミのルーツ


「ファンシーラット」は以前の記事の通り主にイギリスで誕生したと言われていますが、ドブネズミの原産国はアジアです。
起源はおそらく中国北部とモンゴルであると言われています。
アジアから積荷などに混じり世界へ広まっていき、9世紀ごろにはすでにヨーロッパにまで広がっていたとされています。
ドブネズミは縄文時代にはもう日本に存在しており、貝塚からドブネズミの骨片が見つかっています。

ドブネズミの英名は様々ありますが、一番有名なのは”Norway rat(ノルウェーラット)”です。
どうも、ノルウェーの船からイギリスに侵入したとしてその名がついたとされていますが、1850年頃に実はドブネズミがノルウェーの原産ではない事が分かり始め、それが不正確なネーミングであると決定的になったのは1895年頃です。
20世紀からは多くの文献が”Brown rat(ブラウンラット)”を使用し始めましたが、あまりに”Norway rat(ノルウェーラット)”が庶民の間で周知されてしまっているために、現在でもまだまだ”Norway rat(ノルウェーラット)”の方がポピュラーな呼び名となってしまっています。

ちなみに、親戚のクマネズミの原産国はインドマラヤ地域のさらに南。よく間違えられますが、ルーツは全然別の場所なんですね。

体長や体重

これらはオスとメスで異なります。
ファンシーラットは基本的にオスがメスの1.5倍から2倍ほど大きく成長します。

体長 体重
オス ペットボトル大  300~800g
(1kgを超える個体も存在)
メス 手のひら大  200~500g

ファンシーラットの体重はかなり個体差が激しく、同じオスでもメスのような300gをちょっと超えるぐらいの子がいたかと思えば、子ウサギ大の700~800gの子も存在します。
それに比べてメスはあまり差が少ないのかもしれません。

オスはペットボトル大のほかにリモコン大とも表現できる。(尻尾含めず)

よく基礎情報としてメス200~400g・オス250~550gなどと書かれているデータがありますが、概ね実験動物としてのデータから取ってきている情報が多くあてになりません。
なぜかというと、実験動物というものはある一定の年齢までしか生きられず、ペットとしてのファンシーラットに比べればずっと短命だからです。
ファンシーラットは成長期を終えて大人になってもじわじわ成長し続けます。
実験動物としてのラットの平均体重は必然的にペットとしてのファンシーラットの平均体重を下回るのです。


ただ体重が重いから・軽いから、太っている・痩せている、とは一概には言えません。
全ては骨格や筋肉量・健康状態などに関係してきますので、その子にあったちょうど良い体重というものを飼い主は把握しなくてはなりません。
簡易的な肥満の見分け方をここに掲載しておきます。

  • 腰骨が触って分かるか
  • 普通に立った状態を上から見て楕円形の体系になっていないか(幼児体系は除く)
  • 肩の骨がパッと見で分かるか

体重管理は基本的にペレットで行います。
ファンシーラットのペレットに関してはこちらをご覧下さい。

ねずみといっしょ
ファンシーラット 飼育情報総合サイト

ファンシーラットは成長と共にお腹がぷにぷにしてきますが、それは肥満などではなく至って正常な事です。

性格

基本的に温厚です。
温厚故に「実験動物」であったりもするのです。
ただ、オスかメスか・模様の種類・目の色・耳の形・毛のタイプなどで少しずつ性格が変わってくる傾向があります。

  • オスかメスか
    オスはおっとり大人しく、メスは大きくなっても子供のようにキャッキャとはしゃぎ回っている傾向にあります。
    オスはじっくりコミュニケーションをとりたい方に、メスは激しく構いたい方にオススメと言えるでしょう。
  • 模様の種類
    フーディット-活発でやんちゃ
    ハスキー-より温厚で人当たりが良い
    など、様々ありますが詳しい内容については後日補完します。
  • 目の色
    明るい目の子ほど臆病だったり大人しい性格の傾向があります。
    というのも、目の色が明るくなるほど弱視になってくるからです。
    よく見えないから臆病になるし、よく見えないから大人しくなる様です。特に赤目・ピンク目の子に関しては「弱視」という特徴から”Head Bob(ヘッドボブ)”または「首振り」という頭を左右に振る動きを頻繁にする事があります。
    何も知らないと斜頸(しゃけい)と勘違いするかもしれません。
    これは頭を左右に動かすことにより自分自身と各物体との距離を測っているのです。
    ある程度一定の動きでラット自身がコントロール出来ていると感じるならば、それは斜頸ではなく”Head Bob(ヘッドボブ)”かもしれません。また、目の色の濃い子であっても精神的不安から”Head Bob(ヘッドボブ)”をする事もあります。
  • 耳の形
    ダンボ-より優しい性格の傾向
  • 毛のタイプ
    ノーマル(ストレート)-活発で自立的な性格の傾向
    レッキス-甘えん坊な傾向
    スキニー(ダブルレッキス)-キツめの性格になる傾向

これらはあくまで「傾向」であり、一概にそうであると言い切れるものではありません。
勿論、フーディットでおっとりさんな子もいるでしょうし、レッキスでとても自立的なしっかりとした子もいるでしょう。
しかし、初めて飼う時などはこういった傾向を参考にしてどんな子をお迎えするのか決めてみるのも良いかもしれません。

私が個人的に「一番初めのファンシーラット」としてお迎えをオススメするのは断然「ハスキー」です。
もっと欲を言えば「ダンボレッキスハスキー」を狙って下さい。
傾向から言えば、「より優しく温厚で人当たりの良い甘えん坊」です。
「ハスキー」がお好みでないのなら「レッキス」だけでも良いかもしれません。
どうも、「レッキス」はラット飼いさん達に聞いてみても結構な割合で「甘えん坊」な傾向があるようです。

寿命

ファンシーラットの平均寿命は諸説ありますが、概ね2才でしょう。
2004年のイギリスのファンシーラット寿命調査では平均寿命は1才9ケ月と半月ほど。95%は3才で亡くなったとあります。
2才、人間年齢に置き換えると60才ほど。
悲しいかな、ファンシーラットの一生はあっという間に過ぎ去っていきます。

1995年のギネスブックには最も長生きしたファンシーラットが載っています。
ロドニーと呼ばれるラットで、驚くべきことになんと7才4ヶ月も生きたというのです。
猫だったら二又になったと思われてもおかしくない年齢です。
残念な事に、一体なぜ彼がそれほど長生きしたのかは全く分かっていません。


ファンシーラットにも「長寿遺伝子」というものが存在していると言われています。
遺伝的な要因が強いのか、はたまた単に環境的要因かは分かりませんが、3~4才まで長生きするラットも存在するようです。
それらのラットは免疫が強い・呼吸器系の病気に強い・悪性腫瘍(ガン)になり難いなど、長生きするための特徴を備えていることが多いようです。
海外では長寿命を目指した「腫瘍耐性のある系統」などが管理・繁殖されているようですが、日本ではまだまだそこまでしっかりとした系統管理をされているブリーダーさんはいらっしゃらないでしょう。
※もし、「うちは系統管理をしっかりして、遺伝的に長寿命の傾向がある!」と素晴らしいブリーダーさんがいらっしゃいましたら教えて頂ければ幸いです!

過剰繁殖・母体に負担をかける繁殖・過度な近親交配は寿命を縮める原因にもなります。
値段が極端に安いラット(1000円しないなど)や餌用ラットをペットとして迎える事をNGとは言いませんが、もしかしたら遺伝的に寿命が短いという可能性が通常のファンシーラットに比べ高いのではないかという疑惑がどうしても生まれてしまいます。
もし、上記のようなファンシーラットを迎えようと考えている場合は「母ラットの出産頻度・近親交配種なのかどうか、また何世代までの近親交配なのか」を聞いてからにしましょう。
これらをしっかりと答えられないところからは飼うべきではありません。

食事

ファンシーラットは一般的には「穀食動物」と言われていますが、内臓の構造だけを見れば「草食動物」と言われています。
しかし、ファンシーラットが面白いのは「穀食動物」や「草食動物」と言われる割には未加熱の雑穀を与えすぎたり乾燥牧草(チモシーやアルファルファなど)を与えると消化不良を起こしてしまうという点でしょう。

そして、もう一つ面白いのはファンシーラットは海鮮類を食べることが出来るという点です。
これは「ドブネズミ」としての特徴でもあるのですが、本来の生息地が湿地帯であることから魚や甲殻類を食べることは「ドブネズミ」にとっては何ら自然なことなのです。
特に成長期の子ねずみには「牡蠣」や「海老」が広くオススメされています。
ただ、海のものは全体的に塩分量が多いので、多少多めに湯でこぼしたりして塩分を抜くなどの工夫をすると尚良いでしょう。


ファンシーラットの魅力の一つとして、「飼い主と食事を共有出来る」ということがあげられます。
ファンシーラットは「穀食動物」の中でも「雑食より」ですので、たとえば夕飯が肉じゃがならば味付け前の牛肉の赤身の部分を少しとジャガイモ、ニンジンをスチーマーで蒸して火を通してあげたり、ドレッシングをかける前のサラダを個別のお皿に取り分けてお裾分けしたり、なんてことが出来ます。
こういったご飯はあくまで主食ではなく副食としての扱いになりますので、全体の食事摂取量の20%を超えないように調節をしなくてはならない、ということだけ気をつける必要があります。

ファンシーラットの食事はいわゆる一般的な小動物と比べればイレギュラーなことが多々あります。
最初から全てを把握するのは大変なので、まずは

ねずみといっしょ
ファンシーラット 飼育情報総合サイト

ねずみといっしょ
ファンシーラット 飼育情報総合サイト



を読んで頂ければ基本の知識はそろうでしょう。

病気

ファンシーラットを飼う上で一番気にしなければならないのは「腫瘍」です。
腫瘍はどのラットでも発生の可能性があり、いざ発生した時に手術となると安く見積もっても検査費・手術費・入院費・その後の通院費など込みで6万程の費用が必要になります。
そして、手術をして取り除いたとしても再発の可能性も含まれています。
老齢のラットであれば手術が出来ず、緩和ケアを行いながら安らかに過ごせる様にしてあげねばならないかもしれません。

どんな病気であれ、保険の利かない分医療費は高くつきます。
なによりも、動物を飼うということは「お金のかかること」だと理解した上でお迎えをする事が大切です。
理想としては、お迎え前に何かあった時の予備資金として5万程用意しておいて、それに毎月数千円から数万を貯金していくようにするとより安心でしょう。

温度

ファンシーラットの体感温度は人間とほぼ同じと言われています。
人間が暑いと感じる温度であればラットも暑いし、人間が寒いと感じる温度であればラットも寒いという具合です。
スキニーに関しては人間が全裸で過ごしているようなものなので、温度に関してはより気をつけてあげねばなりません。

推奨温度 許容温度
20~26℃ 15~30℃

基本的に夏は冷房、冬は暖房必須です。
ファンシーラットは汗をかかないという性質上、寒さよりも暑さに弱い生き物です。
夏場は許容温度を超えると熱中症を引き起こす可能性があります。
長時間外出する際などは夏場の停電などでエアコンがストップすることなどを考慮して、凍らせたペットボトルなどをケージの上へ置いて出かけると安心でしょう。

湿度

ファンシーラットは湿地帯に生息していたという特徴から湿度は高めの印象が強いのですが、あまり湿度が高すぎても気管支炎などの原因にもなりますので、加湿器・除湿機はほぼ必須になります。

推奨湿度
45~60%

あまり湿度が低く乾燥すると尻尾の先が壊死する「リングテイル」と呼ばれる病気にかかる可能性が増え、逆にあまりに湿気が多くじめじめしてしまうと「気管支炎」や「肺炎」にかかる可能性が高まります。
特に夏や梅雨時はじめじめしがちで、私個人の体感ではその時期に「くしゃみ」をし出す子が多いように感じます。
初期の「鼻炎」や「気管支炎」であれば抗生物質でサックリ直せますが、悪化してしまうと命取りになります。
もし、異変を感じた場合は直ぐに病院へ行きましょう。

飼育頭数

一匹で飼う「単頭飼い」をするのか複数で飼う「多頭飼い」をするのか、特に初めてファンシーラットをお迎えする方は悩まれるでしょう。
「多頭飼い」であっても初めての場合は二匹にするのか、三匹にするのかという選択もあります。
まずは「単頭飼い」と「多頭飼い」のメリット・デメリットから見ていきましょう。

メリット デメリット
単頭飼い
  • 想定外の怪我や事故などが起こりにくい。
  • 相性の良し悪しが関係ない。
  • ラット本人がマーキングで汚れる事がない。
  • どうしても四六時中一緒に居られないので、寂しそうにする場面がある。
  • ずっと一人だと刺激がなく、ボケやすいと言われている。
多頭飼い
  • ラット同士で寄り添って寝ている姿や遊んでいる姿が見れる。
  • ねずみ関係が垣間見れて面白い。
  • 寂しそうだと感じない。
  • 突然のケンカなどで怪我をする事がある。
  • 関係性が突然悪化する場合もある。
  • じゃれ合いなどで結構鳴くようになる。
  • マーキングでどうしても汚れやすい。

「どちらが良い」というものでもありませんので、ご自身の環境にあった飼い方を選択されると良いでしょう。
「多頭飼い」をするとチューチューキューキュー鳴くようになります。
壁の薄い賃貸などであれば、隣の部屋の人には聞こえるくらいの音量です。

初めての「多頭飼い」のパターンとしては「二匹」から初めるパターンと「三匹」から初めるパターンがあります。
基本的には「同性の二匹」が一般的ですが、二匹というのは片方が片方にストレスをぶつけてしまったり、対象が定まってしまうということがデメリットとしてあげられます。
「同性の三匹」の「多頭飼い」はその点、ストレスをぶつける対象が散ったり集中し難いという点から推奨されますが、一度に三匹も同世代の子をお迎えするということは同時に老後が訪れるということでもありますので、それはそれでデメリットにもなりえます。

お迎え方法

ファンシーラットは現在あまりポピュラーなペットではありません。
なので、いざお迎えしたいと思ってもなかなか見つけられないということも多いかと思います。
大体のペットショップでは問い合わせをすれば仕入れてくれたりもするのですが、馴れた子が来るのかどうか分かりません。
入手方法としては、

  • ペットショップ(取り寄せも)
  • 爬虫類ショップ(活餌)
  • 通販(活餌発送)
  • 里親

になるとは思います。
「活餌」をペットとして迎える事は一般的でありますが、負荷のかかっていない繁殖かどうかだけ確認しておきましょう。
もし、実際に手にとって選べる場合、手に乗せてみて体が強張らない子は触られることに馴れている子です。
そういう子を選ぶとベタベタに馴れてくれやすいかもしれません。

私が個人的にとてもオススメするブリーダーさんは「ポカリさん」です。

「通販(活餌発送)」になりますが、活餌としても爬虫類に提供しやすい様非常に人馴れさせてから販売されています。
人の手に恐怖や不信感を抱かず、到着直後からベタ馴れの気質のある子が非常に多いのが特徴です。
私自身も「ポカリさん」から二人お迎えしていますが、二人とも人当たりのとても良いラットです。
また、ラインのバリエーションも多く、ハスキー・フーディット・キャップド・シャム系・ブルー系など。
うちのブルーキャップドマンクスの悠くんも「ポカリさん」出身です。


「通販(活餌発送)」で購入する時に気をつけなければいけないのは、その販売者が「業取得」しているのかどうか、です。
「活餌」であろうと、動物の販売には「動物取扱業」が必要です。
それを取得せずに販売しようとすることは法に触れます。
ネット上ではしばしば「業取得」をせずにファンシーラットを繁殖販売しようと企む輩が現れています。
そういった輩からだけは購入しないように気をつけましょう。

見極めの方法としては「第一種動物取扱業」の「登録番号」の開示を求めましょう。
「第一種動物取扱業者」には「情報公開の義務」がありますので、それを求められて開示出来ないということは黒だと思って間違いありません。

なぜファンシーラットはベタベタに馴れると言われるのか?

それはそのラットが社交的になるように教育されているからです。
間違えてはいけないのは、どんなファンシーラットでも必ずしも人馴れしているとは限らないということです。

馴れるファンシーラットは教育と経験によって作られます。
幼少期から人間の手に慣らすことが重要だと言われていますが、これは母親がそもそも人間に慣れた子であればその子の子供は目が開いて動き回る前から人に慣らすことが可能となるのです。
幼少期の扱われ方も性格に影響すると言われており、「ダンボ」が穏やかな性格の傾向があるのも「ノーマル耳」より珍しいためにより丁寧に扱われるからだとも言われています。


ファンシーラットは確かに他の小動物と比べれば非常によく馴れ、犬や猫のように一緒に遊ぶことの出来るペットです。
しかし、その情報が現在先行しすぎているように感じます。
「ファンシーラットはよく馴れると聞いたのに、実際お迎えしてみたら全然懐いてくれない。」なんて声も聞こえてきます。
原因としては、「全てのファンシーラットが人懐っこい」と勘違いしているからなのですが、それは「なぜファンシーラットが馴れるか」の情報が行き渡らず、「ファンシーラットは人懐っこい」という情報ばかりが広まってしまっているからでしょう。

ファンシーラットも生き物ですから、本当に様々な性格の子がいます。
一口に「人懐っこい」といっても「元気に手に戯れてくる子」や「ひたすら撫でられることが好きな子」や「撫でられるのは好きではないけど、飼い主の服の中でじっとしているのが好きな子」など様々です。
勿論、中には「人間のことを敵だとしか思っていない子」も存在するでしょう。
もし、いわゆる「人懐っこいファンシーラット」をお望みであるのならば、自身で触って確かめるか確実に人馴れの教育を施すブリーダーさんやショップからお迎えをすると、ギャップを感じなくてすむかもしれません。

(参考)
Fancy rat-Wikipedia
珍味・ゲテモノ食大全-CHAKURIKI
How much does a healthy rat weigh?-Goosemoose Pet Portal
Ah, Dumbo Rats…-discover-pet-rats.com
Breeding Methods-rat breeding guide
Life Expectancy of a Store-Bought Rat-pets on mom.me
How old is a rat in human years?-Rat Behavior and Biology